比良山系・武奈ケ岳・貫井谷左俣を登る
伴  明
写真 山田裕敏

核心部の最後と思われる10mの滝に出合う

時期:2004年10月23日曇り午後晴れ
メンバー:伴 明、 山田裕敏
 台風23号が去って2日後、安曇川の谷に入ると水の流れはまだ白っぽい粘土色に濁り空もどんよりと曇っている。 ひと月まえ間違って右俣を登ってしまったので今度は正しく左俣に入ることにする。
 貫井谷バス停から5分ほど車で上がった三叉路に駐車して8時20分谷に入る。 30分左岸のそま道を辿って二股着、高度480m。どう見ても右俣の方が水量多く川床も低く間違えるのも当然のようだ。
左俣に入ってすぐに3本各々10mぐらいの滝が連続するが滝芯沿いは濡れて冷たく登る気がせず左岸に沿って捲く。 台風で落ちた杉の小枝が散乱していてそま道が沢を横切っているらしい所へ着いたのが9時半。 次いで50mほどの連バク(連なった滝)がさわやかに飛沫を上げて流れ落ちているのを沢通しに登ってからゴルジュに入る。

50mほどの連バク(連なった滝)がさわやかに飛沫を上げて流れ落ちている

  ゴルジュは左岸通しをヘツリ上がるが、出口は滝芯に寄らざるを得ず滝の水をしたたか浴びる。 濡れてツルツルのホールドスタンスを慎重に登っていくと、ここはヤバイと思った所にハーケンが1本打ってあった。誰しもヤバイと思うのは同じような所だなと思いつつ左の人差し指をハーケンの穴に入れて突破した。 高度790m。
 11時、次の二俣の左側の沢を越えて現れた15m滝は右岸を登るがフリーでは少ししょっぱい。 次から次と滑り台のような10−15mぐらいの滝が現れ息つくヒマも休むヒマもない。スケールはさほど大きくはなく、岩も黒くて硬いが逆層でツルリとした岩が多くきちんと足場をフィットさせないと滑るので神経を使う、といって始終ザイルを使うというほどでもない。 この辺りが核心部のようで、黒い岩肌を白い飛沫をあげてなだれ落ちる滝の様が美しく、日本の沢登りをしているなと妙に納得する。

↑滑り台のような10−15mぐらいの滝が現れ

↑ この辺りが核心部のようで

↑黒い岩肌を白い飛沫をあげてなだれ落ちる滝の様が美しく

 滝と滝の間の小さく浅い淵状の所で山田が2mほど上の岩に跳びついたが、跳びそこねてドボンと淵に落ち全身ずぶ濡れとなる。
 その上部で、左上から右斜め下に流れ落ちる20mの滑り台状の滝が現れ、これはやさしくて2級程度の岩登りだった。 次いでどうやら核心部の最後と思われる10m滝に出会うが、どうしても滝芯を登らぬわけにいかずずぶ濡れになってゴリカンで登る。 この頃になると何度も滝の水に打たれて全身が濡れ、秋の水の冷たさがこたえふるえがとまらない。
 これで終わりかと思ったが、更に15m滝が現れ、上部滝口への草付きがやばそうなので左岸を高捲きした。
 あとは源流っぽい少し水の流れるガレ場を登って終了、 10分ほど薮をこいで武奈の頂上1,214mにとび出した。 12時。

 ザイルを使わず全部フリーだったので3時間半で登ったが、2−3個所ザイルを使うべき所ありいい加減な足の置き方をするとスリップ転落の危険性がある。 全体で3級クラスの「沢・岩登り」といったところで大変面白かった。 小粒でまとまった沢コースであり、 真夏に水しぶきを浴びて滝芯沿いを登ればもっと楽しいだろうと思った。

↑20mの滑り台状の滝が現れ

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