残雪期の奥利根横断、尾瀬

矢倉 睦(1984年卒)

十字峡〜中ノ岳〜丹後山〜小穂口尾根〜十分沢〜歩き尾根〜剣ヶ倉山〜平ヶ岳〜尾瀬ヶ原

ルート図

↑岳人577号 小泉共司氏記「25年来の夢の奥利根滑降」より拝借しました。

今年は雪が多いと聞き、それならまた去年のあそこに行ってみるかと、奥利根横断を計画した。利根川の源流を「ヒトマタギ」とよばれる、もっとも細くなってる部分で越えるのである。好奇心いっぱいで昨年も計画したのだが、雪が少なくヤブに悩まされ、「こんなとこ2度と来るか」と言いつつ敗退した。そしてまた行ってしまった。
メンバー;尾形達也、矢倉睦
4/29 大阪−六日町−三国川ダム−十字峡泊
雪が多い。

4/30 晴 TS5:30−中ノ岳12:55− TS13:35
十字峡小屋すぐ横の登山道を登る。すぐに雪があらわれ、ぐんぐん高度をかせいで中ノ岳へ。ガスのなか慎重に下り、兎岳側のコルにテントサイト。
振り返ると越後三山がはっきり見え、八海山と駒ヶ岳にはさまれた中ノ岳の由来を思い知る。

5/1 快晴 TS5:35−兎岳7:00−大水上山7:25−丹後山8:15−越後沢山10:15−小穂口尾根TS13:35
快晴の中、問題なく越後沢山へ。昨年は丹後山に上がってきたのだか、この稜線にどれだけ時間を食ったことか。もともと一般道がなくヤブだらけなのだ。雪さまさまである。
本谷山から小穂口尾根の雪面を一気に下る。尾根が細くなってくると今にも雪崩れそうに雪がへばりついている。こわごわ渡る箇所も。早々に安全なサイトでひなたぼっこ。あちこちで雪崩の音がする。

5/2 晴のち雨 TS5:15−越後沢出合6:20−ヒトマタギ、歩き尾根末端8:00−1850mTS13:15
ぐさぐさの尾根を下るより、谷筋を一気に下ることにした。さいわいまだ雪は堅く、汗をかきつつ、デブリに覆われた十分沢を走りぬける。
越後沢の出合は、水がどどど、と勢いよく通り抜けていた。木々に「大正4年」などとらくがきがあり、しばし思いを馳せる。
さて、肝心のヒトマタギだ。越後沢尾根の末端はきれたブロックがへばりついており、トラバースできそうにないので、尾根を直登して乗越し、ヒトマタギへ一気に降りることにした(地図参照)。上から見るとうまいことに本流も雪で埋まっている。懸垂一回で雪面に降り立つ。ただの細い沢としか言いようがないが、いちおうヒトマタギする。とても山深い場所である。(例年はスノーブリッジらしい)
さてさて、ここからは歩き尾根末端からのヤブこぎ、木登りである。覚悟して登るが予想したよりも早く2ピッチで雪が現れ、助かった。あとは"すいすい"。歩き尾根はほんとに広く、スキーで降りてくるのがやはり適当だと思う。
5/3 ガス後小雪 TS7:55−剣ヶ倉山8:30−平ヶ岳10:30−白沢山11:40−TS13:45
前日までの晴天とうって変わり、視界なく、風もある。さむいさむいと言いながら、剣ヶ倉山のナイフリッジ、平ヶ岳と順調に越え、大白沢山手前の樹林帯で幕営。

    

5/4 雪 TS8:15−景鶴山10:30−TS11:10
雪であるが出発。景鶴山は岩峰で、越えるのに少し手間どった。2パーティーとすれちがう。こんな天気にという思いとともに、尾瀬が近いと感じる。
どうしても朝日に輝く尾瀬ヶ原を見る!と、尾瀬ヶ原を見下ろす斜面に幕営。

5/5 晴 TS5:40−尾瀬ヶ原6:50−鳩待峠11:45−戸倉15:50−沼田
朝日にキラキラと雪面が輝いている。尾瀬ヶ原はひろい運動場のようだ。一面真っ白。とても広く、横断するのも一苦労。ただ雪面で、春まだ遠し。景鶴山はここからみると鶴が白い羽を広げて飛んでいるように見える。美しいすがたに立ち去るのを惜しむ。
雪のため鳩待峠にはまだバスが通っておらず、戸倉までえんえんと歩く。このときばかりは雪の多さがうらめしい。

 

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