トムラウシ川地獄谷紀行

澤井 弘忠

8/10〜8/15まで昨年同様トムラウシにいってきました。とてもすばらしいところで感動しました。
メンバー:澤井(54) 山本(48 博多駅前山岳会) 澤井(21小生の愚息)
期間  : 2001.8.10〜8.15
8/10(金)曇 羽田15:00⇒八戸2:00
山本と吾が愚息を羽田にてPICK UP。八戸フェリー岸壁まで会社のプリウスにて約700kmを移動。今回は大洗(茨城)からのフェリーを予定したが超混雑状態で山田先輩(商船三井)からもコネにて取れないか、打診するも調達できず八戸からとなった。途中栃木付近で猛烈な夕立に遭うも順調にたどり着く。お盆の始まりで少し心配するが都内の普通渋滞を除けば平均110km/hで東北道を。ずっと2車線。
8/11(土)晴 八戸5:30⇒苫小牧13:00⇒トムラウシ温泉17:00⇒林道途中のTS19:00
昨晩は徹夜の運転ですっかり疲れてフェリーではぐっすりと寝る。海も穏やかで余り揺れず快適な東日本フェリーであった。コースは紋別から沙流川を遡り、日高町から清水町 トムラウシ温泉へと約4時間のみちのりであったが、ここから林道に入る。トムラウシ温泉では山行計画書を受け付けてもらえず、一般ルートの取付まで提出に行き40分ロス。本日のテントサイトは林道終点のパンケトムラウシ川出合までと決めていたが、出合までの下り道が余りにひどい道なので引き返し高原のTSになった。すばらしい天気で夜空は正に満天の星であった。

  

地獄谷のベースキャンプにて↑                 トムラウシ川本流での岩魚釣り↑

手作りの露天風呂↑

8/12(日)快晴 TS 5:00⇒トムラウシ川出合12:00⇒地獄谷BC 18:00
 林道終点がパンケトムラウシ川だと信じていたものだから、川を越え次の尾根を越せばトムラウシ川だと余り使われていない林道を行く。途中で何回も道がなくなり引返しては別の道を行くこと6時間。全く自分たちの居所がわからなくなってしまった。
 山本がわれわれの思っていたパンケトムラウシ川が実はトムラウシ川ではないのかと言い出し、とにかく行ってみようかとゆうことにして戦意喪失しながら出発。水量は多い。黒部薬師沢出合ぐらいの水量だ。このメンバーに大下(博多駅前山岳会)がいればこんなに迷わなかったなあと思いながら、重い足取りで半信半疑のままで遡行開始。谷筋は結構広く河岸段丘の低いゴーロ帯の砂の無いごろごろした谷である。所々赤テープの河岸段丘上の巻き道をバイパスにして徒渉を繰り返しようやく地獄谷へ。徒渉は股くらいで3人組んで渡る。手前数100mから硫黄の匂いがしてくる。魚影は余り見えなかったが実際はよく釣れる。
 地獄谷では先行の釧路の2人partyが来ており、既に川の中に風呂場を作っていた。TSは河岸段丘の上にありテントは4張位張れる草付だ。あちこちに水蒸気が立ち上り地熱でTSも暖かい。早速、山本と新人が明日行くワセダ沢を含む支流にて岩魚釣り。本流は硫黄の匂い強く余りおいしそうな気がしない。釣果は30分で15匹くらい。小さいのはリターンするが、新人は初めての岩魚釣りで感激。釧路の山岳会のメンバー2人と彼らの焚き火で歓談。彼らはだいぶグレードが高く米、塩、味噌持参でおかずは山の幸とか。やや自慢話に辟易。それでも明日予定のヒサゴ沢下降は新人には無理との話を聞き、断念しワセダ沢を往復する計画に変更する。とても楽しくて、楽な山行をイメージしていたが初日につまずく。昨夜に続き星の降るすばらしい夜空。8時就寝。
8/13(月)快晴 BC5:00⇒ワセダ沢出合6:30⇒15M滝8:30⇒北沼11:30⇒トムラウシ山12:00⇒下降ワセダ沢出会4:30⇒BC18:00

   

奥にトムラウシ北沼が見える↑                    トムラウシ山頂にて↑

 3時起床。疲れが取れきれていないが出発。今回は新人が居るためどうも思い通りには行かず出発30分遅れ。昨日よりも沢自体は難しくない。勾配も緩くゴーロ帯はなく徒渉の繰り返しと赤テープのある河岸段丘の巻き道を行く。ワセダ沢出合は大きい赤テープが2箇所ついている。水量はぐっと落ちるが途中8mと15m滝まで魚影在り。8mと15m滝は連続しておりちょうどカールの出口になっている。この滝は容易に左岸を乗り越せる。新人のため2度ザイルを使う。ここを過ぎて約30分で水がなくなる。約1700m地点だ。
 雪渓が出始めダケカンバの木に変わり源頭の雰囲気が出始める。一気に視界は広がりトムラウシ東峰まで見渡せる。ここまでの雪渓は沢シューズで十分だ。高山植物が美しい。初めて小さいトリカブトを見つける。日高ではいっぱいあったのに大雪では見ない。ぐんぐん高度を稼ぐが急速に馬力が無くなってくる。新人はぶつぶつ言い始めるが何とかついてきている。トムラウシ北沼手前の最後の雪渓はふちをたどる。上りきるとそこが縦走路。昨年通過した道だ。
 北沼は雪渓と青々とした水を湛え、数人が雪渓と戯れている。余り動きたくないが画龍点睛を欠くといけないのでがんばる。縦走路20分でようやくトムラウシ本峰だ。岩のごつごつした九州久住山の頂上に似ている。人も20人くらい。トムラウシ温泉からと天人峡からのパーテイだ。遡行6時間のコースタイムを大幅オーバー。余りゆっくりできず下山にかかる。滝は往のルートとは違ってしまうがザイル1回でくだる。ワセダ沢出会いで山本が釣りをする。めちゃめちゃの入れ食いで時間に追われながら30分で30匹くらい釣れる。ちょうど夕方の岩魚の食事時間だったのかスゴイの一語だ。平均25cm位のしろものだ。それにしても沢の上り下りは全く様相が異なる。ようやくにしてBCへ。今夜は明日下山するだけと開放感に浸りながら岩魚の豪勢な宴だ。小生疲れがひどく食欲が無い。新人はあれだけバテテいたのに回復早い。今夜はわれわれだけのBCだ。川の水を調整しながらコッフェルを洗面器替わりに天然露天風呂に入る。石鹸は無いが35年の山生活で初めての経験だ。明日は停滞して遊びたいなあと思いながら8時就寝。今夜も満天。

        

8/14(火) 快晴 BC8:00⇒林道終点14:00⇒トムラウシ温泉17:00⇒室蘭22:00
昨夜は時間制限無しで寝る。それでも6時起床。後は下山のみ。途中巻き道がわからず引き返したり、3人肩を組んでの徒渉を何度も繰り返し、それなりの緊張感のある下山であった。途中山本が釣り糸をたれる。昨日ほどの釣果ではないが30分で10匹ほどだ。車移動の途中で食す。大きいフキの葉を皿代わりに落木を箸代わりに野趣あふれる岩魚の塩焼きだが今回の反省点として料理方法が塩焼き一辺倒で新たなメニューが必要だ。
トムラウシ温泉は国民宿舎東大雪荘1軒でなかなか立派な建物だ。客もいっぱいで夏は予約が取れにくいのであろう。ここからは帯広空港が最も近く、宿舎のバスが行っているようだ。ややあせりながら一路室蘭へ。室蘭より大洗まで21時間のフェリーの旅が待っていた。

大雪山域は非常に緩やかな湿地帯が広がりとても雄大で高山植物が豊富で技術的にも難しさは無く、人もとても少なく、熊も見かけず、小生にとっては理想の山域です。心を残しながらトムラウシを後にしました。昨年は天人峡からクワンナイ川を遡行し、トムラウシから化雲岳、天人峡への縦走でした。クワンナイ川も感動の沢でしたが、来年もトムラウシ川地獄谷をベースにヒサゴ沢、五色沢、スゲ沼沢で岩魚釣りのゆっくりとした計画で、もう一度行きたいと思っている。


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