アイランドピーク登頂(6189M)
佐々木惣四郎

左の大きな山がアイランドピーク

ネパールクーブ地方にあるアイランドピーク(6189m)

<アイランドピークへの道>
  '99年アコンカグアより高度順化に失敗して目がみえなくなり6800Mで撤退を余儀なくされて以来の6000M峰へのチャレンジである。アイランドピークは、エベレストを盟主とするクーンブ山群のローツエシャール(8400M)南綾末端に位置し、まわりを氷河に取り囲まれいる。
クーンブの中心地ナムチェバザールから北東25キロの位置で登山口は、ドウド.コシ川最奥の集落チュクン(4730M)で、エベレスト街道の玄関口ルクラ(2840M)から実動5日目であるが8日目の到着となった。

  チュクンより半日にあたるBC(5087M)に入り、ハイキャンプ(5640M)より10月6日にアタック(11日目)した。5日夜11時に起床、6日朝1時に出発。メンバーは労山ポッポの杉山、橋本(女性)、土谷(女性)と小生及びシェルパ2名であったが、土谷さんの体調すぐれず約1時間後シェルパとHCに下山した。
  雪線の5800Mまで約2ピッチで天気は良く3時迄はマイナス15度、その後マイナス10度の冷え込みで岩棚が続いた。ここでアイゼンをつけ3人コンテとなり雪田をゆき頂上直下の雪田に6時頃着いた。すでにFIXロープが残されており、ユマールを利用して100M程で稜線に出、さらに100M進み、次の100M FIX ロープをゆき7時25分頂上につく。最大傾斜は約50度であった。
  正面にローツエ南壁、ローツエシャール南壁、ヌプツエの稜線があり、マカルー、アマダブラム、メラピーク等が近くにあり、累々と高峰が連なり、壮大なパノラマが展開した。天気も良く、高度の影響もほとんど無く存分に満喫したが、帰路FIX のエイト環での下降 約250Mには疲れた。

アマダブラムの裏側  ローツェ南壁

左はアマダブラムと杉山さん。右はローツェ南壁

<キャラバンメモ>
  往路は、十分にモンスーンが明けてなかった為か、雨模様が続き9月26日ルクラに着き、山が見え始めたのは10月1日デボチェをでてアマダブラムを望んだ時であった。その後、ローツエが見え、3日最奥のチュクンに入り、翌日BCに入ったが、両側の景色がアコンカグアのBC入りに似ていて感無量であった。それにエーデルバイスが咲き乱れており、嬉しくて仕方なかった。
<榊原氏の事故に接し行先を変更>
  7日デンボチエに戻り、労山の榊原、宮本両氏が事故にあった情報がシェルパにより伝えられ行き先をカラパタールから目指されていたチョルツエ(6400M)BCへ、労山の杉山さんとトウクラを経由して入った。BCに着いたら、ヘリにて入られた林さんと会い、状況を確認していたら、再度現場に入っていた宮本氏と連絡がとれ、榊原さんの死亡が確認された。現場状況の確認結果、折からの天候悪化による雪、及び現場までのテクニカルな困難さから、遺体は現場に残す事となり、宮本氏はHCより下山し、シェルパにてHCの撤収がされた。
榊原さんはプモリを始めとし、リルン南東綾の登頂も試みられたベテランであったが、事故原因は、山の岩自体のとてつもない大崩壊であった。飄々とした人柄が偲ばれ、誠に惜しいクライマーであった。

左がチョルツェ

左の山が今回、榊原氏が亡くなったチョルツェ峰(6400m)

<シェルパ、コック、ポーターとの生活、交流>
  今回忘れる事ができないのは、朝、昼、晩の食事が、量といい、質といい、行き届いていた事で食べさされたと錯覚するほど満足のゆくものであった。また、39年前のリルン行きと比べ、シェルパ等との会話は延々と続き、若い人にはそれなりにより意義あるものになると感じさされた。
トレッキングの形式としてロッジ泊まりでガイド、ポーターを利用する方法を西洋人が多くとっていたが、長旅の場合、コック、テントを利用し、料理を作ってもらうのが、楽しい旅の条件と思われる。
<次に向けて。。。>
  京都仏教大学4年生の3人パーテイは、アイランドピークBCよりガイドの力を借りずに、自分たちだけでHCをあげ登頂に成功していた。学生時代のメモリーとしての旅で25日間 約20万での計画であった。これまで週2回のランニングを中心としたトレーニングで同好会との事。
エベレスト街道は、華やかな展望で学生には、そぐわない気もするが、山になじみ6000M峰に登れれば、今後に大きな貯金となるように思う。

  今回カラパタール、ゴーキョのいずれへも行けなかったが、再度仲間とあるいは現役と一緒に訪れてみたいと思っている。それにしても高度順応に問題が出なかった事で、次への希望がでてきた山行であった。
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