Mtキナバル(4095m)登頂記

島 川  勝

空模様が怪しくなってきて、雷が頭上で轟音を発すると、叩きつけるような雨が体に激しく当たる。慌てて雨具を取り出すが間に合わない。見上げるような大木と大きな開口部を持ってどんな虫でも飲み込んでしまいそうな巨大なウツボカズラ、日本の花屋さんの店頭で高価な値段がついている怪しい美しさを秘めたラン類を見ながらジャングルの中を進んで行く。同行はツアー社の13名と仕事で疲れたというので誘ったら付いてきた私の娘、現地ガイド、ポーターである。キナバル山を選んだのは、外国の山に登ってみたいとの思いがここ2、3年強くなってきていたところ、先ず手始めにアジアの山からということと、4000メートル級であれば何とかいけるのではないかとの思いからである。

ツアーは、9月2日、大阪発組3名と、私の娘を含めた東京発組10名がクアラルンプルを経てマレーシア、コタキナバルに着き1泊後、翌9月3日キナバル国立公園のメシラウというところまでバスで移動しそこで1泊する。9月4日、メシラウからバスで登山基地である公園本部(1524メートル)に移動する途中、キナバル山の全容が見えるところに出る。上部の岩がなんとも言えない尖った異様な形をしていてあんなところに登れるのか不安がよぎる。公園本部で荷物をポーターに一部預け(5キロの範囲)軽くして登山口(1800メートル)まで車で行き、いざ登山開始(午前9時00分)。登山路は整備されていて、約1時間歩行程度のところにシェルターがあってトイレもある。第六シェルターをすぎると、ラバンラタハウス(3300メートル)に着く(午後3時30分)。この山小屋は、広くて食事もまあまあである。翌9月5日は午前2時起床し3時出発、ヘッドランプをつけて暗い道を登る。登山者のヘッドランプが点々と続いている。途中にハシゴがあったりする。サヤサヤヒュッテ(3700メートル)を過ぎるあたりから森林限界になり、岩場が続く。岩場には太いロープがあって掴んで登れるが、岩はべっとりしていて崩れることはないが、雨ですべりそうになったりする。娘はそろそろ高度と疲れでバテ気味で顔面蒼白、歩行が遅れるので励ましながら登ってゆくと右にドンキーイヤ(ロバの耳)ピークが見え、左に尖ったサウスピークが見えるコルに出る。

ここから畳を一面に敷いたような平面状の岩場を廻りこんで急な斜面を登りきると、そこがローズピーク(4095・2メートル)である。同行者からは少し遅れたが、午前8時18分にローズピークに到着できたこと感謝する。

下山は写真をとりながら、ラバンラタハウスまで下りそこで1泊する。翌日は、登山ルートとは別のルートであるメシラウコースを下る。このコースは、ウツボカズラやラン類がより豊富で、熱帯の植物群を楽しみながら快適な山歩きができる。   頂上から一気に降りるツアーコースもあるが、途中で1泊して降りるのも余裕があっていい。翌日はコタキナバル近くの島に行き、シュノーケルで熱帯魚と仲間になった。

ちなみに、旅行社はアルパインツアー、「Mtキナバルゆったり登山8日間」費用21万円、ツアーガイド付き。

2006年9月

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