2000年マッターホルン登頂(5)
8月21日は6.30クライネマッターホルンよりガイドとBREITHORNへトラバース、雪上訓練(他に英国人同伴者)の予定がTROCKNERSTEG2939Mより上のロープウェーが雪と強風のため動かず、急遽、RIFFELHORNでまた岩登り。昨日の筋肉疲れで、しんどいトレであった。時々雨が降りいやな1日。
午後、家内が到着。(小笹さん、上堂さんにはBRIGまで同行頂く)
アルパインセンターへ行き、天気予報をチェックし23日に予定どうり登頂実行を確認。明日22日18時までにヘルンリ小屋に行くこと。多分明日から天候は回復する
でしょうと・・・・
今日、一緒だった、PATRICEと14時にロープウェイ乗り場で待ち合わせ小屋まで同行約す。
ヘルンリ小屋の上部
8月22日朝から大快晴。紺碧の空。午前中、ゆっくり町を散歩、しかし緊張は高まる。
家内がSHWARZSEEまで見送りに、PATRICEとヘルンリ小屋へ。
体調万全で1時間半くらいで到着。18時からMEETINGでそれぞれのガイドを初めて紹介される。
大げさに言えば命を託すPARTNR。名前はMR.KURT KNORI.装備の点検を受け、これまでのトレーニングなど雑談。明日は4時30分点灯、起床だが少しでも早く出れるようにと言われる。
この日の集まりではガイド付き登山者は多分30−40名くらい、他にガイド無し、小屋まで泊まりに来た人たちで小屋は満員(夕食時200人くらい)夕食はスープにステーキ、マッシュポテトとパン。おいしかった。 2段式かいこ棚に毛布で寝る。
8月23日
周りのざわめきで目がさめる。3時過ぎか。4時には皆出発準備に忙しい。
何組かは朝飯を小屋で取らずに出かけた模様。私も自分の行動食を取り、4時半から の小屋の朝食は少しにして4時40分には出発。
真っ暗闇の中、ヘッドランプでガイドの足元だけを見て歩く。5分ほどでいきなり急角度の壁、fixされたロープを握り腕力で攀じ登る。出発を急ぐのはここで順番待ちになるからであった.
かくして、長い長い岩稜登攀が始まった。最初のピッチ、先が長いので、ゆっくり登ってくれとガイドに言うと、なんとガイドは--NEVER--と答えた。
ガイドは母国語はドイツ語、私は日本語、やり取りは英語。
2人は昨日の夕方握手をしたばかり、お互いの事を十分知らず空くまでガイドと客の関係(ガイド料はまだ払ってない)ムカッと来たが、
ここは我慢してがんばるしか無いなと.
勿論ガイドは意地悪でも何でも無く、ヨーロッパの登山の仕方また、マッターホルンのガイド付き安全な登山の仕方があり、これはもう登山システムとも言ううべきでアルパインセンターでの予約に始まり、登山者側がそれを受け入れ準備するなら、ほぼ完璧に安全に目的の山に登ることが出来る。
あとはそのタイミングに天候に恵まれるか否か。
基本的に彼らの側でこちらの事情を測り歩み寄ることは無いと思ったほうが良い。それは経験的に多分一番安全だから。
ゆっくり客のペースで登っていたら、時間がかかりすぎ、雪の状態が悪くなる、ある程度のペースで登る体力が無いと長い上り下りに耐えられない。等等。
ひたすら我慢の苦しい登攀が続くことになる、休ませない、休んでも立ったまま、あまり座る場所も無いが。
手、脚をフルに使って送れまいと懸命に登る、それでも予定時間より遅いから急げと。正直なところ、足場、手がかりを探すのに精一杯。水のみ休憩に2回立ったまま、アイゼンつけるのに少し。立った ままチョコレートを食べ、腕力が尽きかけ頃、頂上直下の岩壁、最後の力で太いロープを両腕で手繰り20−30Mか。9時20分スイス領の頂上に着く。
出発してから4時間40分。
正直な気持ちはあーもー登らなくて済む。スイス側の頂上の ナイフリッジの北面、雪の斜面で荷物を下ろし、水を飲み、写真をガイドに取ってもっらて直ちに下降開始。天気は良かったが360度の眺望を欲しいままにする余裕も無く、南側を覗いた時、高度差にぞっとした。
兎に角、無事に降りるぞと言い聞かせ、後から来る登山者をかわしながら、また、場所によってはビレイのポイントが空くのを待ち、14時20分にヘルンリ小屋に無事戻った。後続のPARTYの為のルート待ちやアイゼンをはずす時以外はほとんど休みなしで いまだにガイドのKEEP WALKINGの声が聞こえる。
ヨーロッパの人の体力をベースにしたマッターホルン、モンブラン のガイド付き登山は日本人にはかなりきついと思う。
どちらも、大変人気の有る山で登攀希望者が多い、また山小屋を朝早く出て出来るだけ、雪の状態が良いうちに戻ってくるためには仕方が無いのかも知れない。
今回もガイドはやはり素晴らしかった、9時間40分程の間ザイルを結び合って、自分を完全にサポートしてくれた訳で、心からあなたのおかげで登れたと言えた。
自分ではとても登れない山を登らせてもらったと思った。ガイド料730フラン、協会への予約時登録料40フラン、小屋代(ガイド含む)144フラン交通費27フラン合計940フラン。
ガイドへのチップ入れると1000フラン位(1フラン約60円)こんなのは俺の求める山登りと違うというう人も居る。
でも、マッターホルンは登れた。 達成感と満足感は残った。
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