ネパールの100日間の山旅(1)
藤本 勇(1959年卒)
日帰りハイキングや、長くても3泊4日程度の山歩きをなさっておられる方から見れば100日もの長い山旅をするなんて別世界の人のように思われるでしょう。しかし、過ぎてしまえば「アッという間」の旅でありました。
私達夫婦は1998年8月5日に関空を飛び立ち、ネパールの首都カトマンズに着く。最初はエベレスト方面に入山すべく計画を立てていたが、モンスーンの影響で連日フライトがキャンセルで、仕方なくポカラに飛んで、ジョムソンへのフライトで馴染みのロッジに着いたのが8月10日でした。ここからガイド1名とポーター2名でカリガンダキ河を下ることとする。
ヒマラヤ、チベットの高地(4500m前後)のガレ場でしか咲かない「青いケシ」
マルファからダウラギリ1峰のベースキャンプへの道をたどりました。覚悟はしていたが、ネパールの8月は雨季で連日、雨・霧・雨の日が続き山の姿は何も見えない。しかし、高山植物が咲き乱れ、高地(4,300M以上)でしか咲かない「青いケシ」がガレ場で可憐というか寂しげに咲いている姿に接した時は感激し、年甲斐もなく頬づりしたくなるようだった。その花は径が5cmぐらいで、花弁は薄い青色、蕊は黄色であった。9月から始まる山旅に備えて4,100Mの高地で3泊する。ベースキャンプまでの道のりは遠く、高度4,600Mくらいで引き返す。
連日の雨・霧のヤクカルカ
ツクチェでは、明治時代に単身チベットに潜入した僧侶河口慧海が暫く逗留した家が、そのまま残っていた。タトパニまで、広い河原や増水した急流のカリガンダキの河岸を下る。タトパニは有名な温泉地。あまりの良さに1日ステイする。風呂好きな女房は一日5回も入浴する。露天風呂の直ぐ横をカリガンダキが怒り狂ったように流れていく。
タトパニからは石楠花で有名なゴラパニ峠を登る。道中のロッジでは絶えずノミや南京虫の襲撃にあい、峠では蛭の落下に出会う。霧の中、飛行機の爆音が聞こえる。こんな天気に良く飛ぶなあと思っていると、ネパール放送で1機行方不明とのこと。この飛行機は、私達がジョムソンに飛んだときの定期フライトであった。機体は発見されたが全員死亡。
モンスーン中の田園風景
ポカラに近づくにつれ、炎天下の中を歩く。ポカラからカトマンズまではバスに乗る。カトマンズに帰着したのが8月23日であった。
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