シュレックホルン (4078M) への長い道 

佐々木惣四郎

 グリンデルワルドを中心としたベルナーオーバーランド山系の1つであるシュレックホルンを真近に望んだのはメンヒ登頂の時で、黒々とした岩峰の塊で、その難しさが予想された。
 さらに1000Mのグリンデルワルドのテント場から2520Mのシュレックホルン小屋へ向かう途中、始めて正面にみた時の威圧感はすごいもので、約2000Mからの高度差からであったが、仰ぎ見る高さと岩峰に登頂意欲が萎縮してしまったくらいだ。
 シュレックホルン小屋へは7月30日 ガイド(33歳)と入ったのであるが誠に素晴らしいルートで3時間15分というスピードであったが勇んでついてゆく事ができた。小屋からの風景は、目の前に下グリンデルワルド氷河、上アイスメーア氷河、フィンスターアールホルン、アイガー(裏側)が見える絶好の場所でヒマラヤの真っ只中に入った様でひさしぶりに胸ときめく風景であった。

 7月31日 小屋での宿泊は13人だけで、頂上にむかうのは2パーテイで朝1時に起床。雨が降っており、少し時間待ちして雨が止んだ1時50分 小屋出発した。小屋から上アイスメーアまで下り、氷河の上をたどりシュレックホルンからでてきているモレーンと雪田の道を延々3時間程つめ(シュレックフイルン)、南西陵ルートの取り付きに5時ぎについた。
 取り付きの手前のシュルンドが大きく開いており、ガイドが氷壁登りのスタイルで乗り越えたあと、案の定小生の時には足場が崩れザイルにぶらさがってしまった。シュルンドには1M強落ちただけであったので、ザイルに頼りながら突破して取り付きに着いた。ここでピッケル、アイゼンをデポ。
 南西陵ルートの基部より600Mのカンテ状の岸壁をグレード3級ながらコンテとスタカットをMIXさせながら約20ピッチ強かせいだがFIXが全くなく、登っても登ってもカベが続きイヤになってしまう位で、ガイドの行くルートを辿ることになるので高いスタンス、細かいホールドも多々あり体全体が疲れ切った頃、8時に稜線にでて8時44分 登頂できた。7時間の登行である。
 頂上では10分間の休憩のみで2パーテイだけであった。頂上よりの景色は素晴らしく高度感は抜群であった。天気は下り坂で帰りが思いやられた。帰りは登りと同一ルートで頂上よりトラバースの後、天気の移りに追いかけられる様に懸垂下降の連続で始まった。
クライミングダウンも多々くわえながら取り付までの懸垂下降は20−30M間隔で19回であった。
取り付きからすぐ下のシュルンドは通常の下降が出来ず懸垂下降で乗り越した。12時頃であった。ここからは雪とモレーンの上を延々と下降続け14時25分 小屋着で5時間30分の下降でかなり疲れたが久々のボリュウームある登行と下降で充実感に溢れた。
12時間30分かかった事になる。

 このあと15時に小屋をでてテントに向かう。17時40分 下降のロープウエイにつきテントへ18時に帰着。長い長い下りで足が痛くなったが今夏のスイスでの唯一の念願の登頂で満足感が足の痛みを越えた。
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